“山田 睦月” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:山田 睦月 (4 件 / 1 ページ)

〈運び屋〉リアン&クリス 天国になんか行かない

 

新米“運び屋”のリアンが引き受けたのは、天才少年のクリスチャン・リー博士を国際学会に送り届ける仕事だった。ある事情でイキモノを運ぶのにはこりごりしていたリアンだが、高額の謝礼に目がくらんだのだ。世間知らずで情緒に乏しい博士との道中は、困ったことや腹の立つことの連続。しかも、やっと心が通い始めたと思ったとき、博士の頭脳を狙う敵に追われて逃げ込んだ山中で、とんでもないことが発覚して…?でこぼこコンビの、パートナーシップ・ストーリー。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

「運び屋」としてはいろいろと未熟だけど熱いハートの持ち主なリアンと、知能は高いがどこか常識が抜けていて感情の希薄なクリス。正反対な二人が未来のアメリカを舞台に繰り広げる相棒物。

性格の違う二人が少しずつ打ちとけ、影響を与えあっていく序盤も凄く好みだったんだけど、クリスの「正体」が明らかになってからは全く別の視点で楽しめました。この題材はもともととても好みなのですが、人間と触れ合うことで感情を得る機械とかロボット三原則とか大変好みすぎてニヤニヤする。特に2篇目の、クリスの“初めての依頼”のお話はそちらの色が濃厚で楽しかった!

メインであるクリスとリアンのやりとりも物凄く好きなのですが、個人的にはなんだかんだでリアンに感化されてる感じがする「博士」や、クリスほどじゃないけれど少しずつ感情に芽生えていく「もうひとりのクリス」とのやりとりも良かったです。


モンスターズ・イン・パラダイス3

[著]縞田 理理 [絵]山田 睦月

辞表を提出し、姿をくらませたカートを説得して連れ戻す為、ミリシャと共に彼の実家へやってきたジョエル。しかし、ジョエルの血を吸おうとしてしまったカートは再び同じ事が起こるのを恐れ、二人の説得を頑として聞き入れない。そこに、カートの父親を名乗る男性が現れて…
   個人的お気に入り度数
シリーズ完結編。オチのつけ方が多少力技のように感じられなくも無いんだけど、それを相殺して余りあるほどにキャラクター達のやりとりが面白かったです。

何よりも、カートの父親・クラウス氏のキャラクターが最強。軽妙なノリでルーシーやジョエルの質問をかわしてみたかと思えばシリアスな表情で実の息子に迫ったり襲ったり(笑)、かと思うとエルモに対しては全く頭が上がらなくて、弱気になって必死になって息子にメッセージを伝えようとしたり……軽妙かと思えばヘタレ、シリアスと思えばギャグ…という具合にどんなキャラでも美味しくこなしてしまうスーパーお父さんに完敗。

彼がヘタレてしまったおかげでラストバトルは一気に軽くなってしまった気がしてなりませんが、あれはあれで面白かったので良し。圧倒的な力を持つ神二人にけちょんけちょんになるまで振り回されるクラウスパパンの姿に、シリアスな話のはずなのに大爆笑してしまいました。登場してからカートやルーシーと和解(?)するまではカッコイイキャラだったのになあ…

そして彼らの10年後が語られる短編「サークル・サウスの昼と夜」は、このシリーズのラストを〆るのにまさに相応しいカンジのほのぼの話。どこかシリーズ開始当初のジョエルを思わせる青年・ボブの姿が見ていてほほえましかったりするのですが、それ以上に各キャラクターのその後がしっかり描かれているのが好印象でした。特にミリシャの10年後は様々な意味で必見。いつかジョエルとミリシャが晴れて相思相愛になった暁には彼女が素晴らしい姑っぷりを発揮する予感がして、今から実に楽しみです。ところどころにさりげないBL臭男臭さを漂わせる本編ですが、ちゃんとミリシャとジョエルの関係も描いてくれていたのが凄く好印象でした。

個人的には申し分の無い終わり方で、3巻が一番ツボだったかも。すっかり「伝説のペア」として有名になってしまった10年後のジョエル&カートコンビの雰囲気が素敵すぎで、また何かの形で外伝が読めれば良いのにな?、と思ってしまいました。


モンスターズ・イン・パラダイス2

[著]縞田 理理 [絵]山田 睦月

ようやくパートナーらしくなってきたカートとジョエル。ところが、ある日二人も良く通っていた“神話的人類”が多く集う店<十字路亭>の看板ウェイトレス・サブリナが<パッシング禁止法>(種族を偽ることを禁止する法律)違反で逮捕されてしまう。一見人間にしか見えないサブリナだが、1/32だけサイレンの血を引いていたのだ。二人はサブリナを救う為、ある人物に弁護を依頼するのだが…
 

逮捕されたサブリナを救う為に二人が奔走する話と、“獅子神殿”に仕えるメイド・ミリシャのお話と、短編を1話収録。相変わらずなんだか微笑ましいジョエルとカートのコンビですが、少しずつ本編はシリアスモードに入ってきました。かなりお気に入りになってしまったシリーズなので、次巻で完結というのがかなり残念です。

Vであるカートにも物怖じしなくなってきたジョエルのお陰で少しずつ職場の雰囲気が変わってきて、思わずニヤニヤとしてしまいます。まだまだしこりはあるけど、ムーニーやパーカーとのやりとりなんかはすっかり普通の同僚同士のやりとりという感じになってきて、1巻でのカートの態度を思い出すと非常に微笑ましい。

『32分の1のサイレン』は↑の粗筋でも紹介している通り、法廷バトル。敏腕かつかっこいいVの弁護士・デウローが絶望的な状況をひっくり返す姿はまさに爽快。ていうかこれ、なんて逆転裁判?

次の『赤革の手帳』はこのデウロー弁護士とメイドのミリシャが出会う話。過去を乗り越え、前向きに歩き出すミリシャの姿は凄く感慨深いんですが、デウロー弁護士が…あああ。いいキャラだっただけにもう少し彼女の活躍を見たかったです。やっぱりもう2?3巻続いてくれても良かったのになあ。

そしてラストでせっかく良い感じに築かれてきたジョニーとカートのコンビに亀裂が…人間&異種族コンビのお話だと良くあるパターンといえなくもないのですが、二人がどうやって亀裂を修復するか、最終巻を楽しみに待ちたいと思います。

ていうか、ラストのあの展開を読んだ後だとラストの短編『クリームソーダ・ウォーズ』が非常に切なく思えるのはなぜだろう。あくまで無意識に昔のいじめっ子を追い詰めるジョエルが実に良いです。ぶっちゃけラストの短編が一番ツボだったかもしれない(笑)


モンスターズ・イン・パラダイス1

[著]縞田 理理 [絵]山田 睦月

田舎から出て、アイオニア連邦ブルームフィールド市で捜査官になったジョエル。大都会ブルームフィールド市は人間と“神話的人類”と呼ばれる者達が共存していた。“神話的人類”恐怖症のジョエルは、よりによって新人が長続きしたことの無い“神話的人類”の対策課に配属された上にヴァンピールの青年・カートとコンビを組まされることに…!?
 

「まいじゃー推進委員会!」さんの名台詞紹介にハートを打ち抜かれて衝動的に購入してしまいました。元々弱いんですよ、わたしこういう設定…。

モンスター(“神話的人類”)と人間が共存しているといってもやはりモンスターへの差別が強い街で、人間達の中で生きようとするヴァンピールのカート捜査官と、神話的人類恐怖症ながらもカートの相棒としてなんとかやっていこうとする新米捜査官・ジョエルのお話。恋愛要素抜きな「ダブルブリッド」(ただし2?3巻くらいのノリみたいな!)という印象のお話です。こういう異種族間で芽生える友情や愛情に関するお話はもともと非常にツボポイント直撃なので、非常に楽しく読めました。

ウィングス文庫は実は初めて手に取ったのですが、いやあ良くも悪くも絶妙に「WINGS」の持つ空気を踏襲しておりますね?。こう、ボーイズラブじゃないんだけど腐女子が萌えそうなポイントを実に正確についてくるというか、別にBLじゃないんだけど腐女子が脊髄反射で反応しそうな…そんなギリギリ感がどうしようもなくWINGSだよこれ(笑)

普段から凄く落ち着いていて大人な態度でジョエルよりも一枚上手で、いつでもジョエルをからかってばかりのカート捜査官が実は結構な寂しがり屋で、ジョエルをからかうのも職場の仲間達にイヤミな態度をとってしまうのも実は…という設定がクリティカルヒットでした。逆ツンデレな吸血鬼に萌え(笑)性格的にも外見的にも正反対なジョエルとのコンビは、ひたすら微笑ましくて見ていて飽きません。

メインの2人の他にも個性豊かな“神話的人類”がいっぱいで、とにかく読むのが楽しい小説でした。そんな彼らや、カートの内面に触れるにつれて少しずつ“神話的人類”への偏見を無くしていくジョエル。ただ、やはり小さな頃から聞かされてきた“偏見”は根強く残っているようで…色々失敗してしまって凹むジョエルの姿が見ていてほほえましいです。偏見は完全には消せないけど、少しでも彼らと歩み寄ろうとするジョエルが一途で見ていて気持ち良いです。

カートが吸血鬼であることといい、賭けの内容といい、今後吸血鬼としてのカートにも深く突っ込んでいくような感じなので、ますます楽しみ。ほんと吸血鬼と人間のコンビって萌えますね!!

ノリは非常にWINGSな感じですが、特に腐女子要素は無いので男性の方でも楽しめるかと。逆に腐女子は男性が反応しない萌えポイントにいちいち反応して楽しめばよいかと(笑)オススメです!!